「何しに来たんだよ、ジル」
アルはまるで楽しみにしていた食後のデザートを横取りされた子供のように、ムッスーとした表情で言った。
「俺、暇なんだよ。付き合えや」
「ざけんな。あたしは忙しい」
「知らん。あ、それより久しぶりに愛のスキンシップをs」
「一人でしとけ」
「…えー……」
「『えー』じゃない」
そんないつもの二人の会話を聞いていると、私もしかして邪魔なんかなぁ…とか思う。
……これは帰った方がいいのか?
それともジルがどっかに行くまでここにいるべきなのか?
「…………………」
少し考えた末、私が出した結論は前者。
「あの、私は部屋に戻るんd」
「話はまだ終わってねーぞ」
アルが私をギロリと睨み付けた。
最後まで言ってないのにーっ!!!
「俺との愛のスキンシップは?」
彼はめげることなく、アルにねだるように言う。
――メンタル強いなぁ…
「あぁぁあ!!!もー黙れ!!!」
なんて思ってると、アルが発狂した。
「はーい」
彼はそんなアルの怒声をものともせずに、バックに可愛いお花を飾るように笑顔で返事する。
「…………………」
その光景を見て、私は少し苦笑する。
「どうせ手ぇ合わせんだろ。後で行くから待って」
アルはまるで飼い主が犬におすわりと言うような口調で言った。
「あ。なんなら、もう片方の愛のスキンシップもするか」
ジルは俺はいつでもカモ~ン♪と両手を広げて、さぁ俺の胸に飛び込んでこいよマイハニー☆とでも言いたげな態度をとる。
「しねぇよ」
それをアルは見て見ぬふりをして速攻で切り捨てた。
「とか言ってェ~、本当はアルがしたいんじゃねーの?」
「相手になってやんねぇぞ、ゴラ」
「えー」
何故か調子に乗り出したジルは、当然のことながら般若のようにギロンとアルに睨まれた。
それでもジルは大人しくならず、つれないけどそこがまたたまらーんとか言って、アルを見る目をハートにする。
――ガチでメンタル強いなこの人
「………………」
そんなジルをアルは冷めた目で見ていた。
「………………」
も…もしかして、ジルは相当なドMなんじゃ…。
て、ことは、ジルが言っていた愛のスキンシップってもしかしたら……。
あぁぁぁああ私は何を考えているんだ!
そんなことを考えるようになったなんて随分私もエロく変態になったな!!!
おっと今は自分の成長に気づいて喜んでいる場合ではなかった。
「わぁった、わぁった。んじゃぁ、また後でな」
漸く彼はここから離れ、手を降ってその場所へと行ってしまった。
ふとアルを見ると、彼女の顔には青筋が浮き出ていた。
「…………………」
ご愁傷様です。
私は眉を下げた。


