「ごめんギル、ちょっといい?」
結局、ホテル代はラガーの奢りになり、晩食を終えてシャワーを浴びた後、ベランダで風に当たっているギルに私は話しかけた。
「ん?」
彼は物思いに耽っていたような表情をしたまま、私を見た。
どうやら黄昏ていたらしい。
少し、そんな気がした。
「もしかしたら、質問攻めになるかも」
クスリと笑って、彼を和ませて………って、私が彼に笑って見せても、ギルは和むのか?
とか思いながらギルを見ると、彼は落ち着いていて、大人びた雰囲気を纏っていた。
「………………」
フウッと私達の間を風が吹き抜けた。
「コウガ?」
話があると言っておいて、何も話さない私を不思議に思ったのだろう。
彼は少し首を傾げた。
「……あ、えっと…」
ハッと我に返って言おうと思っていた言葉を探す。
「…………………」
言いたいことがなかなか纏まらなくてまごついている私を、彼は急かすことなく、黙って待っていた。
…………………。
知らない。
いつもなら、焦らすなよーとかなんとか言って、頬を膨らますのに。
私はこんなギルを知らない。


