天を衝く槍



外に出ると、そこにはウサギなんていなかった。


ザァァ…と風が吹くだけ。


だけど、この胸の中にあるモヤモヤは何だろう。


まるで初めてウサギの気配を感じた時のような…―—


「あら、初めてみる顔ね」


「!」


不意に、木の上から女の声がした。


―—…なんだ?


私は訳が分からず眉を顰め、徐にロンコーネを握る力を強くした。


そこにいたのは20代後半の女。


長い黒髪をゆるく巻いて、胸元が大きく開いて丈の短いスカート、ブーツを身に着けていた。


顔には泣きほくろがあって、真っ赤な口紅が白い肌に生えている。



彼女は何?


人間でもなく、私達の類でもない。


まるで、ジェゾのような―—


そこで私はバッと槍を構えた。


そんな様子を彼女は口角を上げて見ていた。


「やめなよ。ヒヨコが敵う相手じゃない」


「!!?」


いつの間にか、隣にシロさんがいた。


ふと、辺りを見渡してみると、ギルやラガーまでいた。


「心配しなくてもいいわよ。ウサギは避難させたから」


「……言ってくれるね」


少し苛ついたようにシロさんが言う。


「下がれ、コウガ」


冷たい声が聞こえる。


だけどどこか焦っているようでもあった。


「でも―」


「分が悪すぎる。君が敵う相手じゃない」


そう言う彼の顔は焦っているようだった。


そして守るように私の前に立った。


……まぁ、彼にはそんな気持ちは一欠けらもないだろうとは思うけど。


「何の用?まだ2年早いよ」


いつもよりも、もっと冷めた声音。


―—2年?


私は眉を顰めた。