彼女のattitude ~学園・非公認的恋愛~

話の途中で、後ろのほうから葵の名前を呼ぶ声がした。
まだ幼さを残した男の子の声。
おそらく、葵の友人だろう。

「……げ。こ、こっ、ここまで送ればわかるだろ!世話がやけるイトコだぜ!じゃあなっ、俺は行くから!」

急に棒読みくさい台詞によそよそしい態度になったかと思えば、踵を返して声の主の元へ駆けていく。

だから、何なの葵ってば……。

ふう、と息 を吐いて、前方の校舎を見据える。
これから3年、ここに通う。

「高校生活、出遅れちゃったな……。ま、いっけどね」

追い風に背中を押され、校門をくぐる。

わたしが葵の忠告の意味を知るのは、もう少しあとのこと。
だけど、その時は着実に近づいていた。