彼女のattitude ~学園・非公認的恋愛~

これが世間一般でいうところの、恋かどうかなんて。
ちがうなら、それでもいい。

「泣かないでよ、桐」

葵の声が弱々しい。
なんとなく、幼かったころの葵を思い出した。

涙はどんどん溢れて、まるで大粒の雨みたいにわたしの膝に落ちていく。
顔を背けて、指先で目元を拭った。

やだな、止まらない。

その時、背中にふわりと別の体温を感じた。
反射的に振り返るより早く、身体に腕が回されて、阻止される。

「あ、葵……!?」

思いがけず力強くて、ほどけない。
葵は何も言わないし、わたしから表情は見えないし、どうしたらいいんだろう。

じっと固まったまま、しばらくそうしていて、葵が大きなため息を吐いた。

「桐は、俺が守るから」

その声は、さっきと同じ、まだ小さかった葵のもの。
耳がくすぐったい。
首元を、何かがかすめた気がしたけれど、確かめられなかった。