彼女のattitude ~学園・非公認的恋愛~

とりあえず、解放、されたけど。
去り際の鳴子に『早坂さん』って呼ばれたのは、結構ショックだった。

「ほら、行くぞ」

不機嫌そうに葵が言う。

「……うん」

葵はそれ以降ぱったりとしゃべらなくなった。
わたしは早歩きの葵にただついていくだけ。
自分から、なんて声をかけていいのかわからない。

……ごめんね?
なにに?

……ありがとう?
これであってるの?

家の門の前で、ようやく葵が口を開いた。

「俺、部活抜けてきてんだ。桐は家でおとなしくしてること。……夕飯のあと、部屋行くから待ってて」

「……葵、」

少し考えて、顔を上げたときには、葵はもう踵を返していて。
ごめんねと、ありがとう両方だった。
あとで、ちゃんと伝えなきゃ。
そう思いながら、わたしは門をくぐった。