足元がフワフワしてる。
長い年月をかけ、葉が落ちて、朽ちてを繰り返してできた、柔らかな地面のせいかな。
頭もなんだかぼんやりする。
360度、背の高い木と、木と、木。
そのむせかえるほどの、自然の香りのせいかな。
とにかく空気が濃くて、胸が詰まる。
息をするのも苦しい。
あれ、わたし、いつの間にこんな森の中に迷い込んだの。
少し離れたところに、灰色の四角い何かが見える。
あれは、いったいなんだろう。
気になって、一歩踏み出そうとした。
「気に入った?」
すぐ後ろのほうから声がした。
それはたぶん、同い年くらいの男の子の声で。
だれ、って確認しようとしたけれど、なんだかモウロウとしてて、ままならない。
「でもね、足りないんだ」
男の子の声が曇ったようだった。
気に入ったとか、足りないとか。
いったい、なにを言ってるの。
そう思って振り返ろうとしたその直後、からだじゅうの力が抜けて、景色がぐるっと回って、わたしは――。
長い年月をかけ、葉が落ちて、朽ちてを繰り返してできた、柔らかな地面のせいかな。
頭もなんだかぼんやりする。
360度、背の高い木と、木と、木。
そのむせかえるほどの、自然の香りのせいかな。
とにかく空気が濃くて、胸が詰まる。
息をするのも苦しい。
あれ、わたし、いつの間にこんな森の中に迷い込んだの。
少し離れたところに、灰色の四角い何かが見える。
あれは、いったいなんだろう。
気になって、一歩踏み出そうとした。
「気に入った?」
すぐ後ろのほうから声がした。
それはたぶん、同い年くらいの男の子の声で。
だれ、って確認しようとしたけれど、なんだかモウロウとしてて、ままならない。
「でもね、足りないんだ」
男の子の声が曇ったようだった。
気に入ったとか、足りないとか。
いったい、なにを言ってるの。
そう思って振り返ろうとしたその直後、からだじゅうの力が抜けて、景色がぐるっと回って、わたしは――。
