初恋*

ま、いっか。


『ごちそうさま。私先にお風呂はいるね。』

『ゆっくり浸かるのよ~っ。』


私は冷え性だから、ちゃんと浸からないと霜焼けで大変なことになる。



『♪♪♪』

『恭華~っ、電話よ。』

『誰から~っ?』

『えっと、梶原優磨って子よ。なんか明日のけんについてだって。』

『ぁ、ありがと。』


明日は10時に駅前だよね?


『もしもし~っ?』

『ぁ、和泉?急にごめんな。番号は立夏にきいた。あのさ、明日11時にずらせないかな。』

『…ぇ。』

『ちょっと、10時に予定が入っちゃって。いいか?』

『…ぁ、うん。じゃ、11時に駅前ね…?』


こんなことでなんで凹んでるんだろう。


電話をきって、上がると、ドアの向こうに恵にいがいた。


『ぉ、恵にい。どしたの?』

『なんかあったか?』

『…ううん、恵にいには関係ないことだから。だいじょふだよ。』


ほんとはだいじょぶじゃないくせに。
へこんでる理由さえもわからないくせに。

なに強がってんの、私。


『…そ?なら、おやすみ。』

いつものように恵にいが私の頭を撫でる。
ほんとはいつも嬉しいはずなのに、今日はなんにも感じなくて。


なんだか…どうしたのかな。私。