俺が高原佳代の存在を初めて意識したのは、まだ夏休みも迎えない6月のことだった。 担任に頼まれて、クラスの戸締まりに向かったとき、もう誰もいないはずの教室に、電気が付いているのを見付けた。 消し忘れか。そう思って中に入ると、教室の真ん中の席で突っ伏して眠りこける女子生徒が一人。 その女子生徒こそ、高原佳代だった。 「おい、高原?」 呼び掛けてみるも、返事はない。完全に熟睡しているようだった。 肩を揺さぶって漸く目を覚ました高原は、寝ぼけ眼で俺を見る。 「伊藤、せんせ……?」