気付かぬうちに、抑えたはずの涙が溢れ出していた。俊さんの困ったような顔が、滲んで見える。

 突き返した封筒を私の手に握らせ、俊さんは一歩近付いて来た。左手が私の頭に乗る。
 泣きながら、俊さんを見上げると、そのまま俊さんの胸の中に抱きすくめられた。

「ごめん、ごめんね」

 ずるい。俊さんは、ずるいよ。