二人はあるべき形に戻っていた。私の入る隙なんて、少しもなかった。 これでいい。私が望んだ結果なんだ。 嬉しそうに笑う早苗先輩と、気まずそうに右手を挙げる森先輩。二人と挨拶を交わして、昇降口に吸い込まれていく姿を見送った。 「先輩、大好きでした」 誰に言うでもなく呟かれたその言葉は、風で揺らめくカーテンに巻かれて消えていった。 end.