「……森先輩?」 いつもなら早苗先輩と一番に部室を出ていく森先輩の姿が、そこにあった。 どことなくいつもの覇気がなく、入り口近くに落としていた自分の携帯を拾い上げながら、私は先輩に声を掛けた。 私が入ってきたことに気が付かなかったのか、声を掛けて初めて先輩は顔を上げる。 その顔は今までに見たことのない、いつもの明るい笑顔とは程遠いものだった。