脱力系彼氏

「こんな風にしか、伝えらんねぇ。俺の気持ちなんか」

唇がまた小さく揺れ、その度にあたしの唇を優しくくすぐる。何か言う前に、再び昇ちゃんに口を塞がれてしまった。

話す事ですら面倒臭いのに、何回も何回もキスするのは、面倒臭くないの? 途切れ途切れに息をしなきゃならないのは、怠くないの?

そんなの、可笑しくて笑っちゃうよ。


「……あたし」

唇が離れた隙に声を漏らしてみたけれど、やっぱり会話にならない。

「めんどくさい女じゃない?」

唇が邪魔をする。

「……めんどくさい」


やっぱり不思議。ようやく返事を聞けたのに、怖かった言葉が、こんなにも嬉しいなんて。こんなにもドキドキするなんて。

面倒臭いなんて言っておきながらも、あたしの顎に触れた昇ちゃんの手が、優しかったからなのかな。



ああ、昇ちゃん、狡いよ。

こんなにキスが上手いのに、今までしてくれなかったなんて。