ごちゃごちゃになった頭の中を整理する間もなく、小さく息を吐いた。それから、まず。

「あのね、昇ちゃん……ホストじゃないよね?」

「は?」

昇ちゃんは気の抜けた、物凄く間抜けな顔をした。思わず笑ってしまいそうだったけど、あたしは笑いを堪えて昇ちゃんを見つめた。

「ホスト」

昇ちゃんは眉を顰めると、また、髪を掻いた。そして、

「違う」

と。やっぱり。とりあえず、その一言で、1つの疑問が綺麗に浄化されていったのが感じられる。でも、1つ聞けば次々と浮かび上がるのが疑問で、気になり出したら止まらないのが、あたしだ。

「じゃあ、あの、女の人は?」

不思議だ。この質問は2回目なのに、あの時とは全然違う。そりゃあ、多少不安はあるけれど、聞くのが怖くないし、意識しなくとも、口調はキツくならない。


ねぇ、昇ちゃん。


どうして、そんなに優しく微笑んでるのかな。