あたし、確かにここにいる。
昇ちゃんの腕が教えてくれる。こんなに痛くて苦しいのに、温かくて、安心させる。まだ何1つ聞いていないのに、言葉を交わしていないのに。真夏の雪が解けていく。

こんなにも、ほっとする。


昇ちゃんは、痛いくらいにあたしの首に顔を擦りつけている。

熱いものがあたしの首筋に落ちた。

汗?

それとも、泣いてるの?


あたしと昇ちゃんの熱が、お互いを熱くさせる。

もう、汗なんか気にならない。髪なんか気にならない。ぐちゃぐちゃにされてしまった。


昇ちゃんの腕が緩み、呼吸がほんの少し、楽になった。それでも、まだひどくしゃくり上げていて、あたしは真面に息が出来ない。


「少し、痩せた……」

昇ちゃんの熱い息が、あたしの首筋に当たる。

ねぇ、やっと声が聞けた。

嬉しくて、あたしは、余計に泣き崩れてしまった。

「昇ちゃん……ごめんね、触んな、なんて言って、ごめんね……っ」