脱力系彼氏

　この５日間、何十年かと錯覚するくらい長かった。たった５日間で、来世の分の不安と涙も、全部使い果たしてしまったかもしれない。



一歩一歩、あたし達の距離が、縮まっていく。


昇ちゃんが突然消えてしまうんじゃないかという不安まで、頭に過ぎるくらいで。

それでも、昇ちゃんの足音が聞こえてくる度に、心臓の鼓動が聞こえてくる。現実だと、身体が教えてくれる。


あの事故で、死ななくて良かった。


あたしはもう、吐き気なんかよりも胸が詰まって、苦しくて、仕方が無い。

昇ちゃんはベッドの前に来ると、ほんの一刹那だけ泣きそうな顔をした。
それから、大きなものがあたしを包み込んだ。