あたしと昇ちゃんは、もうすぐ付き合って3か月になる。
あたしが一方的に好きで、告白したんだ。

昇ちゃんはあんな究極に面倒臭がりな性格だけど、見た目はかなりかっこいい。

背も高いし、手足も長い。
その気怠そうな目も、長い睫毛があれば綺麗なものに見えてしまう。

麦藁帽子を被ってビーチサンダルでウロウロしても変に感じさせないのは、昇ちゃんの容姿があってこそだと思う。

冴子みたいに、昇ちゃんの性格を知っている人はともかく、擦れ違っては振り返る女の子も少なくはない。

あたしも、その1人だった。


最初は見た目がタイプだったから、羽鳥昇という人間を好きになった。
でも目で追ううちに、その奇抜な服装や、気怠い雰囲気に惹かれていった。


ああ、この人は好きな人にどんな顔を、どんな表情をするんだろう、って。

その顔を見たくて、あたしに向けてくれたらいいな、なんて想いが強くなっていくばかりだった。

気になり出したら、止まらないのがあたしの性分で。



ある日、告白した。


初対面の女に告白されても、振るのが多分普通だと思う。あたしだったら、振る。

昇ちゃんはあたしを見つめたまま、黙って言葉を探していて、あたしはこの時、本能的に分かったんだ。

ああ、振られるって。