脱力系彼氏

 少し肌寒い風が頬に触れ、上がった体温を下げようとする。ほんのり温かい肩は、今にも汗を掻きそうで、自然と冷たい風を求めてしまう。

あたしは、まだ焦点のはっきりしない目をふわりと開けた。見えるのは、消えてしまったテレビ。
黒い画面には、微かにキッチンの電気の光が映っている。

あたしは重い身体を起こし、ぺたんとその場に座った。


あ……ここ、昇ちゃんの部屋だ。


頭を掻き上げながら、意識がはっきりするのを待つ。


電気が消えて、キッチンから漏れて来る光でようやく足下が見えるくらい、微かに照らされた部屋。いつの間にか、ついていた冷房。お腹から足にかけて纏わりつくタオルケット。


……昇ちゃんが全部してくれたの?


そんな事をぼんやり考えれば、自然と意識ははっきりしてくる。いや、あたしは慌てて意識を現実に戻した。


や、やばい……

あたし、あのまま寝ちゃったんだ……