「違うわ。寧ろ私達にしたら雅人が今頑張って生きているのは芹名ちゃんのおかげだと思ってるくらいよ。でも…芹名ちゃんは大丈夫?日に日に弱っていくあの子を見ていると親として私達はどうにもしてやれない。諦めてしまっていた私達に芹名ちゃんは光をくれた。でも…芹名ちゃんの気持ちを考えると…」
「それ、雅人にも聞かれた事あります。でも、私は雅人と一緒に居たいんです。最期の最期まで。今さよならの方が辛いんです。我が儘言ってすみません」
「我が儘言ってるのはこっちの方よ。…本当に本当に有り難う、芹名ちゃん」
おばさんは私を優しく抱き締めてくれた。私は温かい家庭を知らず、雅人の家族のおかげで家庭と言うものがどんなものか教えてもらっていた。どれだけ感謝しただろう。そのおばさんからそんな事を言われて私は号泣した。おばさんを抱き締めて涙がとまらなかった。2人で静かな待合室で暫く泣き続けた。