けど女は、さっきよりも眉をよりいっそうひそめた。
「だから、思ってもないようなこというなっていうの。ほんとに迷惑だから」
と女は吐き捨てた。この言葉にさすがの俺も諦めることにした。
何でこんな女に侮辱されなきゃなんねーんだよ。
「はぁ、わかったよ。こっちが俺の本性。誰だかしんねーけど俺のこの性格、誰にも話すんじゃねーぞ。バレると面倒なんだよ。」
俺はフェンス越しにいる女に話しかけた。
てか、フェンス乗り越えてるとか危ないだろ普通。しかし、女はフェンスを乗り越え風邪にあたりながら目を閉じていた。その不思議ながらもなんだか切ない後ろ姿を眺めていた。
しばらくすると女は
「ええ。誰にもいわないわよ。貴方なんかには興味がないわ。もっとも、自分を偽り続ける人間など哀れだわ。」
はぁ
何なんだよこいつ……
こいつにいったい、俺の何が分かるって言うんだよ。
俺は無我夢中で女に怒鳴った。

