彼女が変身した事情




「ダメダメ!何お前赤くなってんの?!」


「だって可愛い…」

「可愛いじゃねーよ。これは俺のなんだってば!」




俺のあまりの慌てように、苦笑いの直行。




「大丈夫、取らねーよ。それにしても可愛くなった。見つめられたら良介じゃなくてもキュンてなるね」

「そんなこと……」

「いや、マジマジ♪」

「はぁ…」


「良介気をつけたほうがいいぞ」




直行は軽く茶化してくるけど、あながち冗談じゃないことは俺でもわかる。

だって…



さっきから感じる野郎共の熱い視線。
明らかに優に注がれたもの……ヤバイ。


「常……良介どうしたの?」




不思議そうに見上げてくる優。
コイツ、全然気付いてない。
みんな優を意識してるなんてこれっぽっちも感じてないんだ。



「いや、なんでもねーよ」

「そうですか。じゃ私教室行くので」

「7回ね」

「あっ……」

「じゃ後でな」




余裕ない奴って思われたくないから、あえて普通を装ってみるけど……内心は気が気じゃあない。




優と別れて自分の教室に行っても、何も手につかない。



長い長い授業。





やっとで4時限目。自習でよかった。鐘と同時に、約束の屋上に上がってそれから……




「良介、何ソワソワしてんの?優ちゃん気になる?」




辺りに近寄りがたいオーラを出しながら、イライラしてる俺に苦笑いしながら近づいてくる直行。




「あ?別に」


「またまた~。長い付き合いだから割と分かっちゃうんだよね」

「そんなことねーってば」

「あれ見ても?」




校庭を指指す。その方向に視線を向けると………