「じゃ行くか~」
「ううっ…」
「何?」
「私やっぱり…いつもの制服でいいです!」
「駄目~。時間切れ」
軽く突き放すと、嫌々する優の手をがっちり掴んだまま強引に外に連れ出した。
‐見てろよ、馬鹿にしたあいつらに良いもん見せてやる‐
◆
‐お~。見てる見てる♪‐
案の定、学校に近付くにつれて、俺らは注目の的。
俺の隣を歩いてるのは誰だ?ってあちこちから聞こえてくる。
もちろんそれが優だとは誰一人として気付いてない。
「なんか……私、見られてない?」
さすがに気付いて動揺しだした優。
目立つ事に慣れてないから無理もないけど……
「平気平気♪可愛いから見てんだから」
「でも………」
「良介!」
急に声をかけられて振り向くと、遠くのほうからかけてくる人影……直行か。
「おはよ。調子どう?あんだけやられたら…って、あれ?」
不思議そうに優を見てる。
「この子……」
「…あぁ、あの時の方ですね。先日は助けていただいてありがとうございました」
優は直行の声で誰だか分かったみたい。
深々と頭を下げてる。
こら、慣れない相手だからか真顔だぞ?
「優だよ。変わったろ」
「ええっ?なんか見違えた………よ」
不意に直行が言葉に詰まる。
なんだ?と思って見た俺も…絶句。
だって…真顔の優に見つめられた直行は真っ赤だったから。
「おいこら、直!?」
慌てて背中に優を隠す。