彼女が変身した事情

「優………」
「!!」



そっと唇を重ねる。優は不意を突かれてジタバタ。




相当我慢させられてたんだ。そうと決まればガンガン攻めます!




「ん~………っ!」




長いキス。あれ?でもこの唇………知ってる。



「ねぇ………あれ?どうした?」



その場に蹲ってゼーゼーいってる。やべ、刺激強すぎたか?



「い、息ができない………」
「あ?鼻でしなかったのか?」
「そんなの知りません。不意うちはやめて下さい………」
「あっそ。それよりさぁ…」



一緒にしゃがんで顔を近付ける。見えないってホント不便な。



「俺……優の唇知ってる。なんで?」
「………したじゃないですか」
「え?」



超真顔。


「常盤さん熱出した時です……なんとか運んでベッドに寝かせたんですけど。捕まえられてその……キスされました。覚えて無いからてっきり悪ふざけなのかと思ってましたけど……」
「今思い出した」



病気で弱ってたから側にいて欲しくて…あの時無性に優にキスしたくなったんだ。



「俺『一緒にいて』って頼んだんだよな。マジでカッコわりぃ……」
「そうですか?誰だって心細い時はあると思いますけど」
「ん~俺、優のそういうとこ好き~☆」



俺が気弱になって甘えるなんて『らしくない』。他の奴ならそう言うだろうけど…優は違う。ちゃんと甘えさせてくれる。思い出した。あの時朦朧とする意識の中で眠るまで手を繋いでてくれたんだよな――………。



「さて、と」
「わぁっ!」



優を抱える。行く先はもちろん…風呂。



「どこに行くんですか!?」
「さっきから言ってんだろ。風呂だよ風呂」
「なっ…下ろして下さい!私そんなに濡れて無いっ」
「いーや。びしょ濡れの俺に抱かれてたんだ。濡れて無い訳が無い。それに…」



-ガラッ…-



「泥だらけ。体の傷も確認したいし…」



脱衣所に優を下ろす。


「こら。それじゃ脱がせらんねぇじゃん」
「脱がされないようにしてるんです!」