「いんじゃない?ダサ子がやられたってうちらに関係ないし」
「そだよ。常盤~、直行も一緒にカラオケ行かない?」




我関せずの女ども。
結局中身なんか関係ない。自分さえよければ関係ない。所詮見た目で人の善し悪しを判断するんだ。




「直行………アイツ、俺の許婚なんだ」
「え?」



初めて口にした。バレれば優が嫌がるから親友にも話してなかった。でももう限界。




「鞄頼むわ………」




フラリと直行に鞄を渡す。



-ガラッ……-


「きゃあっ。常盤、ここ二階!!」



自分の中のスイッチが入った。女どもが止めるのも聞かないで窓から飛び下りる。下は中庭、部室棟への一番の近道。



-スタン!-




無事に着地。上から声がする。



「良介!プールの方に行った!!」
「サンキュー」



全速力で走り出す。一刻も早く助けに行ねぇと!




プールに上がる階段の下。プールサイドから人の話し声がする。






「何で叩かれても蹴られても表情ない訳?」
「……その人形みたいな顔がうぜぇんだよ」

「は~い。いらないものは処分しまぁす♪」



-パシャン…………ポチャン-



「次は鞄の中身ね」
「うわ、ナマイキ!携帯なんか持ってるよ。友達いないくせに」

「返して!」

「なんだよ。見られたくねぇんじゃねーの」「えーっとぉ………え!?ちょっ…なんで?」
「何?」
「なんで常盤先輩の名前!?」
「うそっ」


「返して!!」



「やだ何こいつムカツク!こんなんのくせに常盤先輩の名前携帯に入れちゃって!!」
「疑似恋愛?うっわ、キモ~!」
「ムカツク捨てちゃえ!」

「止めて!」


-ポチャン……-



「あ~ぁ水に浸かったらもうダメだね」
「ダサいくせに常盤先輩の事好きなんてムカツクからさぁ…やっちゃお♪」







「おまえら!!」


息がきれる。姿が見えたとこでありったけの声で叫ぶ。みんな一斉にこっちを見る。
その中心には俯せに倒されて頭を踏まれてる優の姿が――………。