「常盤~!明日からGWじゃん。どっか旅行行こうよ♪」
「ワリ。無理だわ」
「え~最近なんか付き合い悪いよねぇ。みんな言ってるよぉ」
「皆断ってるもん」
「じゃあさ。彼女できたんじゃないかって噂ホント?」
「さぁね」





そりゃ、早く彼女にしてぇけど。




あれから数週間が過ぎ、腕のギプスもめでたく外れた。これで俺はいつでもスタンバイOKなんだけど。優の方は相変わらず無表情、無感情、無関心……。数々のアプローチをことごとく断りやがる。


でも一応、毎日一緒に飯食ってるし、渡した携帯は持ち歩いてるみてぇだし、現状維持って感じ。
使い方覚えやすい様に俺とお揃いのピンクの携帯。(←俺のは黒)
俺も暇さえあれば、せっせとメールするようにしてる。返事はほとんどないけど…。




「え~何それぇ」



「おい、良介~」
「あ。おぉ、今行く」


戸のとこから顔を出してるのは中学から一緒の親友の直行(なおゆき)。俺の本来の気性も分かってる数少ない理解者。



「じゃ、俺帰るわ」
「え~待ってよぉ」



俺ら二年の教室は二階。渡り廊下からは中庭、部室棟、そしてプールが一望できる。



「なぁ」
「どした?」




突然、直行が窓際で立ち止まる。



「あれ……ヤバくね?なんか囲まれてる様に見えるけど」



直行が指差す先。部室棟の裏側。壁際に一人、周りを男女入り交じって6人が囲んでる。その中の一人が胸ぐらを掴んでいる。

その光景を見て俺は固まった。


胸ぐらを掴まれているのは……間違いもしないあのブカブカの制服、デカい眼鏡。


「あ~ぁ、またやられてるよ」



一緒に居た娘が笑ってる。


「あれ一年生だよ。あのダサさはヤバいって目ぇつけられてさ。最初はいじめだけだったみたいだけど。エスカレートしてんだねぇ」


耳を疑った。いじめ?そんなの知らない。アイツそんな素振りは見せなかった。


-ドクン…-



体中の血液が沸騰するかのよう。優を傷つける奴は許せない、許さない!