◇◇◇



コンコン………



「失礼しま~す………あ、誰もいないや」



先生不在の保健室。


「ヒナタちょっと座ってて」



薬を用意して、手当てをはじめる。
椅子に座って、大人しくされるままになってるヒナタ。
ほんと綺麗な肌してるんだよな~…ムカつくくらいに。


「前にも言ったよね~、綺麗な肌なのに傷つくったらダメだって」

「………」

「まぁ、好きで喧嘩して来るんじゃないのはわかるけど。大きい怪我だけはしないでよ?あんまり心配させないで」



消毒してピッと絆創膏を貼っ付ける。




「はい、おしまい」



道具を片付けるのに、その場を離れようとした時だった。
ふいに手首を掴まれる。



「ん?…何?」

「………」





ドキッとした。
なんて顔してんの?

長めの前髪の間から覗くその瞳は、普段のヒナタからは想像出来ないくらい切ない。
あんた……そんな顔できたんだ。




そのヒナタの唇から、さらに信じられない言葉が紡がれる。



「ミュウ…お前本当に俺でいいの?」


「……は?」




今……ミュウって言ったよね?
初めて名前で呼んでくれた……



「それはどういう意味で?」

「俺と居ても楽しくないんじゃないか?見た目も性格もこんなだから、気の利いた話もできないし……つまんないだろ?」

「じゃあヒナタは、私が飽き飽きしてると思ってるの?いい加減別れたいな~…って?」

「………」



図星だね。
スッと視線を外されて、一瞬眉が寄せられたのを私が見逃すはずがない。
こんなにも好きなのがわかんないのか、コイツは!



「だったら今だって一緒にいないでしょ?」

「………」

「は~……あのね」



理解してもらえるまでとことん話し合うべく、また椅子に腰掛ける。