あさっての方角を見ながら、サラっと言われて目が点になる。


「だって私…あんなに大人っぽくないし」

「同い年だろ」


「あんなに露出できないし…」

「他の奴らに見られなくていい」


「巨乳でもないし…」

「俺はあんなにいらない」


「美人じゃないよ?」

「ゴミでもカスでもないよ。俺は成宮のほうがいい」

「……」



ここまで言われたらもうなにも言うことないよ。
今日は珍しく口数多いのは、私を安心させようとしてくれてるからだね。



「へへっ…ごめんね」



せっかくデートに来たのに、いつまでも臍曲げていられない。ヒナタに微笑むと、繋いだ手はそのままに、えいっと腕に抱きつく。
ドキドキの行動だけど、ヒナタ自信も当たり前のように腕を組んでてくれた。
これが許されるのは私だけ、彼女の特権だと思っていいんだよね。
ヒナタとこうして密着して歩くなんて初めて……

くっついてわかったけど、ヒナタの腕…女物の香水、鼻がムズムズするくらい濃いムスク系の香りがする。きっとさっきの女の人達の移り香。

一瞬ムッとしたけど、ちょっとまって?
女物の香水にまぎれて、ふわりと鼻を掠める。

ん?この匂い……もしかして。



「ヒナタ…使ってくれたの?」

「…気に入ったから。こういうの、初めて使った」



私が上げた香水。気に入ってくれたんだ。
もっとちゃんと香って欲しかったと思う半面、ヒナタが使ってくれたと思うだけで顔がにやけちゃう。



「ふふっ」

「何?」

「嬉しいなぁと思って。ヒナタのイメージにピッタリだよ♪」

「………」



恥ずかしいのか、そっぽを向くヒナタをからかう。

いつの間にか歩幅を私に合わせてゆっくり歩いてくれてる。


「これからどこ行こっか~」



こうして…私達の初デートは、とっても楽しい、充実した一日が過ごせた。

そして、この日を境にこの香水はヒナタの定番になったの………。