ヒョイと取り上げられる紙袋。



も、貰ってくれたぁ。


それだけでもう天にも昇る気持ちだった。




「…じゃ俺行くから」

「うん…」




ヒナタがいなくなり、シーンと静まり返る屋上。
柵に近寄って下を見下ろすと、陸上部がアップを始めてる。



「へへっ、少し近づいた気がするぞ♪」


空を見上げると二筋の飛行機雲が交差してる。
そこに手の平をかざしてみた。
まだ残る、ヒナタの手の感触と温もり……



「手ぇ……繋いじゃった」





胸の内に膨らむヒナタへの気持ち。
もっと触れたい。一緒に居たい。

沢山喋らなくとも、同じ空間にいれたらそれでいい……



「デート…楽しみだなぁ。どこ行こっかな」




それが叶えられる初めてのデートが、今は待ち遠しくて堪らなかった――――