「あいや、まぁ……彼氏じゃないのかぃ」
吹き出したココアを拭きながら、納得出来ない様子のおばあちゃん。
おばあちゃんがどう思おうと、違うんだってばっ!
話題替えなきゃ…。
「でっ?おばあちゃん、さっきから小池君のこと知ってるみたいだけど?」
私の問いに、ホホホと笑いながら小池君の隣に座る。
「この間、悪い兄ちゃん達に絡まれたっつったろぉ?囲まれて因縁付けられて、そりゃあ怖かったさ。そん時、財布盗られて逃げられて……悔しくてねぇ。ほら、転んで膝痛めた時だよ」
「あぁ……」
うちに帰ってきて、その事聞かされてすごくビックリして…同時に腹が立った。
こんな年寄りいじめて、お金とって恥ずかしくないのかって。
あれ?でもその話しには続きがあったはず………
「そん時にさぁ、逃げてくあんちゃん達を私の後ろから、さーっと走って追っかけてってさぁ?あっという間に取っ捕まえて、財布取っ返してくれたのが、この兄ちゃんなんだよぉ」
「うそっ……」
おばあちゃんの話しのなかに出てくるヒーローが小池君だったなんて……
おばあちゃんに手を握られて恥ずかしいのか、気まずいのか、複雑な表情がなんか可愛くて。
それに、普通だったら見て見ぬ振りが多い世の中、自分にかかるリスクも考えず助けてくれた、その正義感の強さに。
胸が熱くなった。
好きだぁ。
私…やっぱこの人、大好き。
込み上げてくる気持ち……
「あん時、自分がボロボロなのに、膝ぶった私ばおぶってうちに連れて来てくれたんだよぉ。名前も言わないで帰って行っちゃってぇ。それがまぁ、孫のお友達だったなんて……ホホホっ、嬉しいじゃないの♪」
嬉しそうなおばあちゃん。
私も嬉しいよ。


