大晦日、一部の間ではお祭りと言われている場所。

姫佳は親友であり、遠縁の穂佑実、それからお目付け役の麻幸と共に、海のそばにある大きなイベント会場に来ていた。

穂佑実の夫と、麻幸の恋人から午前中だけ、と念を押されて、それでも嬉しさを隠しきれずに衣装を取り出す。

「姫佳さま、それが姫佳さまの衣装ですか?」

お目付け役の麻幸は、唸りながら衣装を見る。

「うん!剣舞って言うアニメの踊り子の衣装!あ、穂佑実はこれ。今日は穂佑実がお姫さま。で、麻幸さんは女剣士!」

それぞれに衣装を手渡して、何とか着替えを済ませた。

「時間がないし、早く行かなくちゃね!」

姫佳は、パンフレットの断片を手にして、チェックしてある場所を見る。

「どこから回るの?」

「私は西館しかいかないかな。後は企業ブース。今回はタぺストリーがほしいかなって」

「私もタぺストリー欲しいなぁ。KOKUHAKUのゆんちゃんのタぺストリー」

「あるんじゃないかな?雪祀の近くにブースがあったから」

姫佳と穂佑実は楽しそうに会話をしている。時折、男性、女性に関わらず、小さな声をあげていた。