「年末ってキライ」

「仕方がありません。もう少し寒くなりましたら、きっと雪になるでしょう」

姫佳は軽く息を吐く。

「そうね。雨よりは雪の方がロマンがあっていいかもしれないわね」

姫佳はウォーキングクローゼットに向かう。

「で、どれにすればいいの?」

ズラリと並ぶドレス。

執事は、両手で真っ白な箱を差し出す。

「こちらのドレスを、と旦那様が。先日のアクセサリーに合わせて、だそうです」

姫佳は宝石を思い出し、軽く頷く。

「……分かったわ。着替えますから」

執事は軽く頭を下げて、部屋を後にした。

姫佳は箱からドレスを取り出して、鏡の前に合わせる。

ベビーピンクのドレス。フワフワと裾がなびき、甘い感じがする。

「似合わないし」

姫佳はそう呟き、ドレスに着替え、先日の宝石を身につけた。