コンコン。

アヤトがドアをノックする。
「ハイ。」

中から声が聞こえる。
若い声だった。

ーーー男…の子??

「若、氷の者を連れて参りました」

「入れ」
「失礼します。」

入った瞬間、目を見張った。
アヤトが主と呼んでいた人は、どう見ても自分よりも年下で、幼さの残った顔立ちだった。

「驚くのも無理はない。突然変な力に目覚めてしまい、その変な力の全てを知っている頼みの綱がこんな17歳足らずのガキの元に連れて来られたんだからな…」

言い終わると、彼はなんだか物悲しそうな顔をした。

だが、それも一瞬、一変して笑顔になると、彼は自己紹介を始めた。


「僕は暁 帝。この暁家の頭首であり、光だ。これからもよろしくなッ。えぇっと…」

私が頭の中を整理している間に、アヤトが私の名前を帝に教えた。

「そうか、瑞生ってゆうんた。良い名前だな。んじゃ、改めてよろしく、瑞生」

そして帝は手を差し伸べる。

「こちらこそ、よろしく…」

そう言うと、帝は満面の笑みを浮かべた。

その時アヤトも少し微笑んで見えたが嬉しかったとは、誰にも言えないヒミツである。