重太郎が、寝ていると。

襖が乱暴に、開かれる。

突然の音のせいで思わず重太郎は飛び起きると。


涙で濡れた顔をした美夜が、仁王立ちしていた。

「武智…どがぁ」

重太郎が、言い終わる前に美夜が重太郎に抱き着く。


いきなりの事に美夜を引きはがそうとすると、さらにきつく腕をしめる。

「…龍馬が!!」
「うっさい…」

龍馬にどやされるのは自分だから、美夜に話し掛けると。

美夜は重太郎に顔を埋めたまんま、重太郎の言葉を塞いだ。


しばらくして、美夜は顔を離した。

「!?」

美夜の顔を覗くと、涙とか鼻水とかでぐっちゃぐちゃになっていた。

顔を埋めていた所から美夜の鼻水がだらんと美夜に繋がっている。

「リ゙ョーマ゙、がぁ゙…っ!!!!」


泣きすぎて嗚咽が止まらなく、言葉の途切れ途切れになってしまう。

そんな美夜の頭を、優しくなで、また何かあったな…とため息をつく重太郎。

こういう時があった時の仲介役はいつも重太郎。

とりあえず、今は美夜の気持ちを落ち着かせなければいけない。


まだ泣きつづける美夜を苦しくない程度に抱きしめ、しゃっくりで揺れる背中を優しく撫でつづける。

まるで、子供をあやすようだがこれが1番美夜にはてきめんだった。


「ぅ゙、ぐぅ…ひぐ、ひぐ…おぇ゙ッ」

今回はなかなか泣き止まないため、重太郎も相当な事があったな、とまたため息をつく。