ようやく体が離れる。 佐伯と目が合う。 「我慢できないよ」 「えっ?」 「好きな子が目の前にいたら、キスしたくなるな」 そう言って。 佐伯はあたしをドアの方へ追いやった。 「樹里…」 「ちょっと!佐伯ストップ!」 慌てて佐伯の腕をつかんだ。 「何で?」 「ダメだよ」 「わかった」 佐伯がため息をついて、続けてこう言った。 「じゃあ、携帯教えて」