「これは食べないんですか?」
「…あんた食べないの?」
「え、私の分ですか…?」
まさか私の分にまで配慮してくれてたなんて知らなくてただ驚く。
「いらないなら食べるけど」
「あぁ! 食べる、食べます!!」
「そ。」
フッと笑った彼は、優しい表情だった。
「これ…飯代」
そう言って机に5000円を出した彼。
「え、いいですよ?」
「は? こんなに食わせてもらってタダとか太っ腹過ぎ」
私のすぐそばに5000円を置くと、立ちあがった。
「お邪魔しました」
「え、もう……?」
って、私は何を引きとめてんの。

