どうしようかと困っていると、ムクッと急に起き上がったその人。





「ハラ減った」




 フード表情は分からないが、確実に男の人。





 何回か同じセリフを呟いたと思ったらまた座り込む。





「…あ、の……」

「…」

「良かったら、家でご飯食べますか?」

「え、いいの?」

「…はい」






 困った人は放っておけないんです、昔から。





 この人が困っているかなんて分からないけど…たぶんそう。






「家…どこ?」

「そこです」




 すぐ目の前にあったマンションを指さすと「ふーん」と興味なさそうに呟き、また立ちあがってマンションの方に足を進めた。