*陽菜side*





「陽菜ちゃん、ふっかッ…ゲホッ…ゲホッ」

「してねぇし!」







 あれから3日お休みを頂いて、なんとか熱は下げた。





 が、声と咳が止まんない。






「ほら、ちゃんとコート着て」




 Aラインの赤のダッフルコートを着せられて、なる君の車に乗った。




「送らなくていいのに」

「いいんだよ、どうせ通り道だし」





 ご親切にシートベルトまで付けてくれたなる君。





「もうすぐ文化祭だろ? 準備で夜遅い?」

「んー…ちょっとだけだよ」

「早く帰って寝ろよ?」







 大学に通っているなる君は、きっとモテるだろう。





「…彼女、作ればいいのに」

「………は?」

「私にばっかり尽くしてたら結婚逃しちゃうよ?」

「あのなぁ……まぁいいや…着いたぞ」