冷血男子



「陽菜」




 そう呼ばれて、一瞬聞き慣れた声でドキッとする。



「あ、なる君……」

「あからさまにガッカリするなよー」




 くしゃ、と撫でられた髪に、愁君ならふわっと優しい香りがするのにとか考える。



「あいつのことか…?」




 なる君には話してあって…理由を知ってる。




 きっと私のことを慰めようと、こまめに会いに来てくれてるんだ。





 愁君……あんなにあっさりと別れを告げて行ってしまった。




 私のことなんて何とも思っていなかったことが辛い。




 会えないことが辛いよ。