冷血男子



「…送ってくれてありがと」

「早く中入れって」

「あれ、柊君今日は入って行かないの?」





 俺がここまで来て、家の中に入らずに帰ったことなんてないからきっと驚いているんだろう。




「今日は、いいや」




 そう言うと「ふーん」と軽く返事をした陽菜が不思議そうな顔をする。






 だいたい陽菜には警戒心がないんだよ。





 俺にロックナンバー知られてからも変える様子はないし。




 あ、そうだ…。





 家の中に入って行こうとする陽菜の背中に話しかける。




「陽菜」

「ん?」



 顔だけこっちを向けた陽菜がにこりと笑う。





「これ」



 ぶっきら棒な俺は、片手で口を押さえながらぐいっと右手の人差し指と親指で挟んだものを差し出す。