店を出て、陽菜の家に向かう途中。
名残惜しくて、ゆっくり歩いてしまう。
「…どうしたの? 愁君…今日歩くの遅いよ?」
「え…」
「いつもなら私なんか置いて歩いて行っちゃうのに」
あー…そうだっけ。
身長差が大きい俺と陽菜の歩幅はどう頑張っても違う。
いつもの俺は…というかこんなに陽菜を好きになる前は、平気で放っていけたのに。
今は名残惜しいとともに、全てが陽菜で周っていそうな勢いだ。
「早く歩いたほうがいい?」
「え、ヤダ!」
そういって首を振る陽菜が笑うと俺まで伝染してくる。
今までに人から笑顔が移されたときなんてあるだろうか。
きっと、ない。
俺はずいぶん変わったみたいだ。

