冷血男子



 決して器用ではない母さんに、器用な父さんが笑いながらやってるのをよく見かける。





「でもでも…」

「黙ってろって」




 アイラインを引く時って少し瞼を上げるから、その顔を見られるのが嫌らしい陽菜が全力で首を振るのを押さえこんでやる。




「大人しくしねぇとずれる」

「自分で出来るよー」

「俺がやりたいのー」




 小さな顔をぐっと近づけて構えると、顔を真っ赤にした陽菜が目に入る。




 お互いの視線が絡みあって不思議な感覚に陥る。





「うい、出来たぞ」

「あああ…ありがと」

「顔真っ赤。見惚れてんじゃねぇよ」

「見惚れてなんかっ」





 くるっと向こうを向いた陽菜。





 あっち向いても鏡があって顔は丸見えなんだけどな、こいつ…バカだ。