「お前がいなくなって、

どれだけの人が、お前を探したと思う?」


「・・・え?」


「内科医としての腕も、

前に何度か出した論文も、

たくさんの人が評価してる。

オレの病院は、役不足かもしれないが、

孝明が医者として再出発するには、

申し分ないと思うが?」


「そこまで聞いたのは初めてだ。

…だからと言って、

さっきの言葉に、ウソ偽りはない。

この島の人たちを、オレの手で、

守ってやりたい」


オレの決意は固かった。


「今日来て、今日断るのはよくない。

頼むから・・・

よく考えてみてくれ。

お前を待っている人たちが、

たくさんいると言うことを頭に入れて、

しっかりと・・・」

そう言って、

オレの肩を叩いた颯太は、

次の便の船で帰ると、

病院を後にした。