彼が、旅立つ今も綺麗な夕日だった。


彼との出会いを導いたのは。


この夕日だった。


彼との別れを導いたのも。


この夕日だった。


夕焼けの中、私達は手を取り合った。


もう…私は…。


この彼の温もりが。


この彼の香りが。


この彼の優しさが。


感じれないのだろうか…??


そう思うと、涙がじわりと滲む。


滲んだ涙はするりと頬に垂れ落ち彼の服を、濡らす。


こんなにも、彼が愛おしいのに。


彼を引き止めたいのに。


こんなにも、彼が好きなのに!!!!!


「最後は、笑顔で見送ってくれへん??」


そう言われ私は少し彼から離れ、服で目が痛くなるくらい擦った。


「いってらっしゃい」


「あぁ。」


私と彼は、優しく微笑みあった。


そして彼は旅だった。