青春推進法。2024年に発布された法律であり、少子高齢化による働き手の減少を抑制し、 子供を増やしていこう、という理由のもと発布された法律である。


その内容は、砕いて説明すると『カップルをいっぱい作りなさい。カップルには援助金が出ますよー。』ということと、『異性と話すのが苦手って人はアンドロイドで練習してねー。』ということの2つだ。


まず1つ目の援助金の説明からすると、これはカップル、しかも 20歳以下のカップルにのみ 適用され、『青春課』が取り決めた試験に合格した人しかもらえないものだ。


試験はとても難しく、お互いがお互いについてどれだけ知っているかが問われる。 少しでも間違えようものならすぐさまボッシュート。しかも再試験は行えない、という とてもシビアな試験だ。


お金が欲しいが為だけに試験に挑んで撃沈した人を僕は何人も知っている。


次に2つ目のアンドロイドについて。これは申請さえすれば誰でも借りることが出来る。


一口にアンドロイドといってもそのバリエーションは様々で女の子タイプなら、 長身から低め、髪の長い短い、胸の大きさ、性格のあれこれ……など、希望を言えばそれにもっとも近いものを貸し出してくれる。


貸し出し期間も援助金の時と同様の20歳まで。借りた人はこのアンドロイドで異性恐怖症なり対人恐怖症なりを克服してカップルを作っていく、ということになる。


これも悪質な人が都合のいいダッチワイフのように使おうとする事例が後を絶たないらしいが、アンドロイドだって意思はある。皆例外なくぶっ飛ばされている、とのことだ。


……よし、これで版書は完璧だな、うんうん。そして僕が書き終 わったタイミングを見計らったかのようにチャイムが鳴る。


起立と礼を機械的に済ませ、先生が教室を出て行く際に「いってなかったがここはテスト範囲だからなー。今の日本にとっては基礎中の基礎だから細かく出題していくから覚悟しとけよー。」


と聞きたくも無いような台詞だけ残して去っていった。


やめてくださいそういうのは。死んでしまいます……。


.