どれくらい車で走ったんだろう。
大きなお屋敷の前で車が止まった。
「お帰りなさいませ」
「客人だ。俺の部屋に通す。誰も近付けるな」
「はい、畏まりました」
上品そうな女の人。
着物着て、旅館の仲居さんみたい。
ていうか、本当に大きなお屋敷。
「キョロキョロすんな。そんなに珍しいか」
「だって、こんなお金持ちだなんて思ってなくて。」
あのとき、公園で死にそうな顔してたのに。
ものすごくお腹空いてそうだったのに。
こんなお金持だったなんて、なんかずるい。
私のあげた飴なんて、しょぼすぎて、恥ずかしい。
