「何ですか今何時だと思ってんすか!!」
「部屋!!いる!!」
「は?」
「おばけ!!」
「はぁぁ?」
「来て!」
「え!?」

琴葉は季に腕を掴まれ、
部屋に連れ込まれる。

「なんで私が…」

恐る恐る、琴葉は季の部屋に入る(この際、しっかり季の腕を掴んでいる)。
季が寝ているという部屋の扉を開けると…。



「きゃあぁぁぁぁぁ!!」



琴葉は悲鳴をあげながら季に飛びつき、
季の後ろに隠れる。

「わわわ私は何も見てないからな!!」

そう言いながらしっかり季を掴む手が震えている。
琴葉が見たのはおかっぱショートカットで赤い着物を着た、10歳ぐらいの女の子だった。
女の子は2人を見るとニッコリ笑った。
2人はぞっとした。


「その子は加代ちゃんだよ」
玄関から声がした。
「え…?」
2人が声の方を見ると、
雨がえるアパートの大家がニコニコして立っていた。
「大家さん!!」
「加代ちゃんって!?」
大家はクスリと笑った。
「お2人、仲良いのね」
「え?!」
琴葉は自分が季にしがみついていることに気付き、思いっきり突き飛ばした。
「いてぇ!!」