「はい?」
寝てたんだろうな、
と分かるくらい寝癖をつけた季が出て来た。

「私には関係ないことですが、あなたが死体で見つかっても嫌なので報告だけしに来ました」
「何を…?」
「あなたのストーカーさん、このアパートに住んでます。では」
琴葉が去ろうとすると
「ちょちょちょちょ!!」
「え?」
琴葉は腕を掴まれ、
季の部屋に引き込まれた。
「何すんだ!!」
「え、ホントなの!?このアパート住んでるの?!」
「204号室に住んでるって今挨拶された」
「だってあいつ、前のマンションで俺と同じ階に住んでた」
「そんなの知ったこっちゃ……え!?」
2人はしばらく見つめ合った。
「季さん、悪いことは言わない、早く引っ越せ」
「いや無理だから」
「身の危険を察した方が良い」
「どーしよー…」
「知らんがな」
「絶対俺のことつけてきたんだよね」
「偶然だと思うのか」
「思わない」
「じゃあ引っ越すか警察しかなかろう」
「ねぇ琴葉」
「なんで名前知ってんだ」
「1週間前挨拶来たじゃん」
琴葉はしばし考え、
「なれなれしく呼ぶな」
「一応俺より年下だろうが」
「すいませんでした」
「で、お願いなんだけど、俺の彼女のフリしてくれない?」
「はぁ?!何故だ!!」
「女の子が近くにいれば向こうも近寄って来ないかなと」
「私の身が危ないだろ!」
「大丈夫、その時は俺が守る」
「だがしかし断る!!!」