季がリビングとして使ってるスペースで、ローテーブルを挟み、琴葉と季、対面に大家と加代が座っている。

「2人は加代ちゃんが見えるんだねー」
大家が言った。
「ということはつまり加代ちゃんは幽霊なんですね」
「そう。このアパートができた時からずっといるよ。でも悪さはしないし、もしかしたら座敷わらしかもしれないと思ってね」
「他の住人には見えてないんすか?」
「あなたたちが初めてだねー」
琴葉は加代を見て聞いた。
「加代ちゃん」
「加代でいいよ」
加代はそう言った。
「あ…えと、加代ちゃんは普段この部屋にいるの?」
「ううん」
加代は首を振った。「204号室」
琴葉と季は顔を見合わせた。


あ の 女 の 部 屋 か 。


「何故に俺の部屋に?」
「えっと…204にずっといたんだけど、少し前に変な人が越してきて…だんだん気味悪くなってつい逃げ出したの」
「幽霊にも気味悪いとか言われてんのかあのストーカーは」
琴葉は頭を掻いた。
「具体的に何が気味悪いと?」
加代は黙り込んだ。
「言えないほど気味悪い、と?」
加代は頷いた。「というか、怖い」
「季さんあなたとんでもない人にストーカーされてるようだ」
「やめろよ勘弁してくれよ」
そんな中大家はケロンと言った。


「2人とも、この子の姿を見た時はよろしくね」