「はぃ……じゃあ、行こうか」


私は林原さんに車で送ってもらうことになった。


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車に乗り込むと、爽やかな青リンゴの香りが鼻腔をくすぐった。


「……………。」


「…………。」


お互いに無言のまま、発進していく。


チラリと何度か、林原さんが不安げな表情で見つめてくる。


「林原さん、大丈夫ですよ。」


「………大丈夫じゃないだろ。」



信号が赤になり、止まった瞬間に、ガシガシと少々雑に頭を撫でてくれた林原さんを見つめた。


「………ふ。……何だかホッとします……あ、そっちを右です」


「俺は御坂さんみたいに優しくできないけどな。」

苦笑いを浮かべて、右へ曲がった。



「此処で良いです、ありがとうございました。」


「…………御坂さんは、きっと君を助けてくれるから。━━━頼りにならないと思うけど、一応…俺も。」


「はいっ」



ぺこりと頭を下げてアパートへ入って行った。




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