病院に到着すると、手術室へと運ばれた。


「お連れの方は、コチラでお待ちください。」



ビニール生地のベンチに腰掛けて、手を握りしめて俯いていた。


━━━お母さん……無事でいて。




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カッカッカッ………、

静まり返った廊下に響き渡る乾いた靴の音。


私のそばまでくると、ピタリと止まった


顔をあげると、スーツを着込んだ2人の男性の姿が見えた。

1人は、すらっと伸びた長身に、茶色がかった髪の毛。そして、どこにでもいそうないたって普通の容姿。

何だか神経質そうな印象を受けた。


もう1人も、すらっと伸びた長身で、少々くたびれた黒髪に、年配だが割とハンサムな容姿。

穏やかな表情で、後輩にも好かれそうな印象を受けた。


「………突然、失礼します。私はこういうもので、御坂と言います。あなたは潮宮 桜さんの娘さんでいらっしゃいますか?」


年配の男性は、警察手帳を見せて、御坂(ミサカ)と名乗り、若い男性は、林原(ハヤシバラ)と名乗った。

「……そうですけど。」


「事故のあった、数時間前に、容疑者が
ハシゴ酒をしていたことが分かったんです……それで」


言い終わる前に、私は御坂刑事にくってかかった。

「……だから、何ですか。……飲酒運転だったから、人を轢くのは仕方ないとおっしゃりたいんですか。」


「……君ッッ、何もそんなこと…」


「林原くん、落ち着きなさい。……お嬢さん失礼した。……あのね、…」


穏やかに話す御坂刑事の声に、私も冷静さを保ち、謝罪をした。

「ごめんなさい……今、頭が働かない状態で……」


「いや、お母さんが事故にあわれたんだ、仕方ないのないことだよ、」